FIWCワークキャンプ感想文&コラム

2007年夏キャンプ

佐橋加奈子「贅沢」

2007.10.12 UpDate

 フィリピンにひと夏行って、ヘルスケアセンターを建てる。


 私は深く考えもせずこのキャンプに応募した。ただ経験がほしかった。何かを期待していたわけじゃない。だからこそ、キャンプを終えた今、私は想像以上のものを得て、その重さに圧倒されたままでいる。


 あんなに衣食住について考えることは今までの人生で無かった。生活を1から作り出すという経験は初めてだった。住む場所を確保してご飯を準備して一日の流れを考えて。ワークもはじめ草ぼうぼうの土地から木を倒して土地を作って、というところから始まった。うだる暑さの中であの時は一日を過ごすのに夢中だった。あの夢中だった毎日は、日本にいるときよりも純粋に生活している、という感覚を私にもたらした。毎日は単純で単調と感じるときもあったけど実はかなり濃い日々だったんだと、帰ってきた今思う。


 フィリピンで一番印象に残ったことは?と聞かれたら私は、夜メンバーと過ごした時間、と答えてしまうと思う。ワークでもなく、フィリピンという国についてでもない。不謹慎なのかもしれないが、これが私の正直な感想だ。語る、ってこういうことかって実感した。皆簡単に考えることを投げないで出来る限り自分の限界まで自分の考えは何かってことを見つけようとしていたように思う。私も自分の考えは何かと考え抜いて、浮かんだ自分の考えを出来るだけそのまま相手に伝えられるように言葉を選ぶ努力が出来た。それはほんとうに大変な作業でいつもミーティングは長かったし、ぶつかったし、最後にぴったり結論が出るものばかりではなかった。でも、今から思うと贅沢な時間だった。ミーティングが終わってからも、暖かいアスファルトにねっころがって星をみながら、歯磨きしながら、寝袋の中で、メンバーとまじめなこともくだらないこともたくさん話した。メンバーと色々話すことでメンバー一人ひとりに興味を持つことが出来たし、みんなの素も見えてきた。みんなの個性や考え方を100%受け入れることは当然無理だけど自分と違うとこがあるって認めたうえでメンバー一人ひとりの良いところやすぐれているところもちゃんと見ることが出来たと思っている。皆それぞれ目に見えないものも含めて役割をもっていてそれを果たしているんだ、果たせているんだって思った。皆と出会えて幸せだった。


 もちろんフィリピンの人たちとの時間も大事な時間だった。私の中ではキャンプ後半になってからやっと本格的にフィリピンの人たちとの時間を持てたという印象がある。悩みがもやもやあるときも村の人と関わるとあったかくてちょっと能天気でなんだか笑っちゃうって感じだった。子供も大人も人間くさくて自分の感情に正直で、一緒に過ごしていると私までどんどん素直になっていける気がした。あったかい毎日だった。私には帰ってきて良い場所があるって感じられているし、きっとすぐに帰ってしまうだろう。


 旅に行くとき自分が変わることを期待して出発したわけではないけれどキャンプを終えた今、私の中の何かは確実に変わってしまった。必ずしも変わることがいいことだとは思わないけれどそれでもこのキャンプは自分を変化させるインパクトをくれたと思う。そのインパクトは村についた瞬間とかある出来事からきたものではなくてあの場所であのメンバーであの空気の中で一ヶ月間暮らしたっていうキャンプ全体からきたもので、キャンプが終わった後ブワーって私の中に入ってきたものだと思う。


 この夏は、期待以上の経験や、色んな感情、ずっと繋がっていきたいメンバーを私にくれた。最高に贅沢な夏だった。

(執筆:佐橋加奈子)



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